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ホンモノ体験
かごしま知覧紅茶 無糖

無糖なのにほのかに甘い!
和紅茶がおいしい理由

洋菓子にはもちろん、和菓子との相性も抜群ということで近年人気が高まっている「和紅茶」。海外産の紅茶にはない素材本来のやさしい“甘み”が、女性を中心に話題になっています。今回はそんな和紅茶を明治時代から生産し続けている鹿児島県の知覧にて、そのおいしさに迫りました。

美しい茶畑を囲む、無数の扇風機

鹿児島県のおへそ、桜島。知覧は、そこからさらに南端に位置する町です。ここは茶所としてだけでなく、武家屋敷の町並みが楽しめる「薩摩の小京都」としても有名。さらに、今回伺った地域からは、九州を代表する日本百名山のひとつ、開聞岳も一望できます。

ここは茶所としてだけでなく、武家屋敷の町並みが楽しめる「薩摩の小京都」としても有名。さらに、今回伺った地域からは、九州を代表する日本百名山のひとつ、開聞岳も一望できます。

そして、視線の先にはいよいよ今回の主役である茶畑が。茶葉についた朝露が太陽に照らされ、光り輝く世界が一面に広がります。 こんなに美しい茶畑に出迎えられ、この茶葉で作られる知覧の紅茶への期待は膨らむ一方です。
(実は、紅茶と緑茶は同じ茶葉からできているんです。皆さんはご存知でしたか?)

しかし、そんな茶畑のあちこちに、何やら不思議なものが…。先端にファンがついた柱がたくさん設置されているのです。

早速農家さんに、「あれは、暑さ対策用の扇風機ですか?」と伺ってみると、「防霜(ぼうそう)ファンと言う霜対策用の装置です。」と、予想とは真逆のお答えが。 「この防霜ファンが夜間や朝方に回ることで、上層にある暖かい空気が冷たい地表部分へと送り込まれ、茶葉が霜から守られるんです。」と、人柄が滲み出た丁寧な口調で教えてくださいました。

早速農家さんに、「あれは、暑さ対策用の扇風機ですか?」と伺ってみると、「防霜(ぼうそう)ファンと言う霜対策用の装置です。」と、予想とは真逆のお答えが。 「この防霜ファンが夜間や朝方に回ることで、上層にある暖かい空気が冷たい地表部分へと送り込まれ、茶葉が霜から守られるんです。」と、人柄が滲み出た丁寧な口調で教えてくださいました。
しかし、九州でも最南端に位置する鹿児島県で霜が降りるというのは驚きです。 「知覧は中国大陸からの湿った冷たい風が直接降りてくる立地にあるんです。だから、冬には雪が積もることも珍しくない。ただ、この寒暖の差が、おいしいお茶をつくる気候に適しているんです。」と、農家さんはまた丁寧に、そして知覧茶葉のおいしさの核心を突くような説明を加えてくださいました。

霜は敵。しかし、寒さは味方。基本的には四季を通して温暖な気候にある南九州地域で知覧が日本有数の茶所になれたのは、寒さという天の恵みがあったからなのです。

茶畑の真ん中にある隠れたテクノロジー

さらに、デリケートな茶葉の霜対策は防霜ファンだけに留まりません。 「このスプリンクラーは、霜対策用でもあるんですよ。」と、農家さんがバルブを開きスプリンクラーを作動させてくれます。

「これは本来ならセンサーで自動的に作動するんです。外気温が2℃になるとスプリンクラーが水を散布し、水温で外気温を上げていきます。外気温が4℃まで上がるとまたセンサーが感知しスプリンクラーがストップ。これが冬から春にかけて繰り返されるのです。」

「これは本来ならセンサーで自動的に作動するんです。外気温が2℃になるとスプリンクラーが水を散布し、水温で外気温を上げていきます。外気温が4℃まで上がるとまたセンサーが感知しスプリンクラーがストップ。これが冬から春にかけて繰り返されるのです。」
徹底的に品質にこだわるために新しい技術も積極的に取り入れる。古きを守る頑なさだけがこだわりなのではなく、柔軟性を持つこともこだわりなのだと気付かされました。

知覧の茶畑の3つの特徴

気付かされたと言えば、知覧の茶畑を見渡すとわかる大きな3つの特徴です。
1つ目は、茶畑と聞いてまず思い浮かべる段々畑、ではなく平地を利用した茶畑が広がっている点。平地だと広い面積を利用して茶葉の栽培が行えるので、安定した収穫量を確保することができるそうです。

2つ目の特徴は、茶葉に黒い遮光幕のカバーを掛け日光から遮っている点。「この栽培方法で生産されたお茶は“かぶせ茶”と呼びます。摘採の一週間ほど前から日光を遮ることで、お茶の中にある旨味成分が渋味成分(カテキン)に変わるのを抑えるんです。」と、農家さん。

2つ目の特徴は、茶葉に黒い遮光幕のカバーを掛け日光から遮っている点。「この栽培方法で生産されたお茶は“かぶせ茶”と呼びます。摘採の一週間ほど前から日光を遮ることで、お茶の中にある旨味成分が渋味成分(カテキン)に変わるのを抑えるんです。」と、農家さん。

旨味、甘味と聞くと、普通なら光を浴びせたほうがいいと思ってしまいます。それがあえて光を遮るなんて、茶の道は飲む方だけでなく、作る方も深いんだと思い知らされます。

そして、3つ目の特徴は摘採の際に見られる光景です。

その光景の主役となるのが真っ赤な摘採機。緑の茶葉の絨毯の上を真っ赤な摘採機が走る姿は、知覧を代表する風景美のひとつとなっているんです。

その光景の主役となるのが真っ赤な摘採機。緑の茶葉の絨毯の上を真っ赤な摘採機が走る姿は、知覧を代表する風景美のひとつとなっているんです。

何と今回の取材では、特別にこの摘採機の運転も体験させていただきました。摘まれていく茶葉が放つフレッシュな香りに包まれた運転席からの眺望。それは、茶畑をパノラマで見渡せる知覧一の絶景スポットのように思えました。

何と今回の取材では、特別にこの摘採機の運転も体験させていただきました。摘まれていく茶葉が放つフレッシュな香りに包まれた運転席からの眺望。それは、茶畑をパノラマで見渡せる知覧一の絶景スポットのように思えました。

さらに贅沢なことに、農家さんが隣で運転をサポートしてくださりながら、知覧の紅茶に対する想いを聞かせてくれます。

知覧紅茶を、少しでも多くの人へ

「この摘採機を使う前は、1農家あたり2haほどの生産量が限界だったんです。でも、今では多い農家だと12ha〜15haもの茶葉を生産しています。海外産に比べ、日本産の紅茶はどうしても生産量が落ちてしまいます。だからこそ生産量が上がる工夫をすることで、少しでも多くの人に国産の、知覧産の紅茶のおいしさを届けたいと思っているんです。」

「この摘採機を使う前は、1農家あたり2haほどの生産量が限界だったんです。でも、今では多い農家だと12ha〜15haもの茶葉を生産しています。海外産に比べ、日本産の紅茶はどうしても生産量が落ちてしまいます。だからこそ生産量が上がる工夫をすることで、少しでも多くの人に国産の、知覧産の紅茶のおいしさを届けたいと思っているんです。」

品質へのこだわりを徹底しながら、新しい技術も積極的に取り入れ栽培方法を進化させていく。その飽くなき探究心の根底には、ご自身が生まれ育った土地の素材の可能性を信じ抜く、やさしくも熱い情熱が流れているのだと思い知らされました。

人気の上昇に伴い身近な飲み物になってきた和紅茶。それだけ手に入りやすくなった背景には、飲みたいと思う人たちの願いだけではなく、「おいしい」を広げたいと願う人たちの愛とこだわりがあったのです。

人気の上昇に伴い身近な飲み物になってきた和紅茶。それだけ手に入りやすくなった背景には、飲みたいと思う人たちの願いだけではなく、「おいしい」を広げたいと願う人たちの愛とこだわりがあったのです。

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