おいしい!ひらめきがある POKKA SAPPORO

シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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初夏がやって来る5月はピクニックへ行こう!

5月になると既に初夏のような気候になってくるシチリア。
陽射しは強くなり、空の色も海の色も冬のちょっと淡い青から、目の覚めるような真っ青な青に。
田舎道を歩くと4月まで至る所に咲いていた色とりどりの野の花もシチリアの強い日差しで枯れ始め、その代わりに真っ赤なひなげしが咲き乱れます。
それも5月中旬には枯れ始めると、今度は白くて小さなオリーブの花が咲き始めます。3月に芽吹き始めたブドウはもうこの時期にはブドウの房ができ始めます。
オレンジやレモンの木には、たくさんの白い花が咲き、その香しいこと。
そして5月が過ぎると、シチリアにはもう本格的な夏がやってきます。

  • オリーブの花オリーブの花
  • オレンジの花オレンジの花
  • 麦畑麦畑
  • レモンの花レモンの花
  • サクランボサクランボ
  • 一面のひなげし一面のひなげし

初夏はピクニックへ!

初夏気分のこの時期の恒例行事、それはピクニック!
6月を過ぎると外にいられないほどギラギラの太陽が照り始めるシチリア。
夏が長いシチリアでは、日中に外で気持ちよく過ごせる期間は意外と少なく。
そのため暑くもなく、寒くもない5月の天気の良い週末は外でピクニックをしながら気持ちよく過ごすのが恒例となったのでしょう。

ピクニックと言っても、お弁当を持っていくのではなく、その主役はBBQ(バーベキュー)。
トラーパニ郊外にはいくつかのバーベキュー場があります。
でもバーベキュー場と言ってもそこは森の中に木のテーブルがあって、天然水が流れるところに蛇口を付けて水が確保されていて・・・それだけ。
バーベキュー台も、炭も、食材も、必要な道具や材料はすべて持ち込み。
あとは、石や枝などその辺にあるものを上手に使います。
そこはバーベキュー場という名の、ただちょっと広いスペースといった感じです。
そんなナチュラルな感じのバーベキューはちょっとしたサバイバル気分!
私達はいつもバーベキュー台と炭、そして大量のお肉とパンを持っていきます。
炭を起こしてお肉を焼いてパンを切って・・・さあ、いただきます!
そして肉が焼き終わると余った炭で必ず作るのがカルチョ―フィ(アーティチョーク)の炭火焼。
その辺にある大き目の石を拾い集め囲いを作りその中に余った炭を入れ、その上に塩とこしょうをしたカルチョーフィを並べて、仕上げにオリーブオイル。
こうして待つこと約1時間・・・。
周りの焦げたところを取って中の方を食べると、、、ホックホクでとってもおいしいこと!
お肉もカルチョーフィも炭火効果でおいしさが増して、さらに見渡す大自然が最高の調味料!

  • 煙がモクモクのバーベキュー場煙がモクモクのバーベキュー場
  • こんがり焼けました!こんがり焼けました!
  • 肉を焼き終わった炭でカルチョーフィを焼く肉を焼き終わった炭でカルチョーフィを焼く

家の庭でもBBQ!!

今日は家でのんびりしたい・・・という週末は、わざわざバーベキュー場に行かなくとも、家の庭でも気軽にバーベキュー。
シチリアでは日曜日のお昼ごはんは、実家に家族で集まる習慣があります。
私の義妹の家には、自分達で石を積み重ねて作ったという立派な石窯があって、5月の日曜日にはBBQとピッツァを楽しみます。
バーベキューの時に活躍するのは断然男性たち!
石窯はまずは薪を入れて火を起こします。
ある程度、薪が燃えて炭化してきたら、薪を寄せてピッツァを入れる場所を作ります。
前日の夜から仕込んだピッツァ生地は、お昼頃には醗酵が終わり、その頃には窯には火が入っている・・・という絶妙のタイミング。
ピッツァ生地をのばして、好きな具を乗せて、石窯に入れて数分・・・。
石窯で焼かれたアッツアツのピッツァのおいしいことと言ったら!
そして、ピッツァを焼き終わると、今度はその残った薪で焼くのがお肉とカルチョーフィ。
この日はサルシッチャと呼ばれる生ソーセージを焼きました。
お昼過ぎからピッツァを食べ始め、最後のカルチョーフィが焼き終わるといつも夕方。
日曜日の午後はずっと食べ続けている・・・というお食べ地獄なこの時期の日曜日です。

  • ピッツァを準備ピッツァを準備
  • 石窯に入れて待つこと数分石窯に入れて待つこと数分
  • 焼き上がりました!焼き上がりました!
  • ピッツァの次はサルシッチャ(生ソーセージ)ピッツァの次はサルシッチャ(生ソーセージ)

シチリア人はおもてなし上手

シチリア人は家族はもちろんの事、友人や仲間達と過ごす時間を大切にします。
シチリアの田舎のお宅の庭には必ず、と言っていいほど外のテラスにもキッチンが付いていて。
友人達は気軽に「バーベキューにこない?」とお宅に招いてくれるのですが、毎回感心するのが彼らのおもてなし。
イタリアでは食事の際には必ずテーブルクロスを敷きお皿やグラスをセットするのですが、そのテーブルコーディネートはいつもとても美しく。
私の友人達は女性でも忙しく働いている人が多いため、バーベキューの際にはなるべく洗い物がでないように、紙のお皿やコップを使う事もしばしば。
(女性だって週末はリラックスしたい!と彼女達。)
そしてチャチャッといとも簡単にセッティングしただけなのに、おもてなしのテーブルセッティングに早変わり!
彼女達のセンスには毎回驚かされます。

お友達を招待したら男性だって働きます。
ワイン担当、料理担当、バーベキュー担当・・・それぞれ分かれてテキパキ、テキパキ。
ものすごく凝った料理を作っているわけではないのですが、すぐに準備ができておいしい、これぞイタリア家庭の味!というパスタと、ここでもまたバーベキュー。
おいしいごはんとおいしいワイン、そして仲間達との楽しいおしゃべり。
こうして翌週へのエネルギーをチャージします。
きちんとした料理を作らなければ・・・、きちんとテーブルセッティングしなければ・・・という気負いのない友人同士の集まりだから、私も気軽に参加できてリラックスして1日を楽しむことができる楽しい週末。
気を使わせないための気配り、それがシチリア人流おもてなし。
私も見習いたい事がたくさんです。

  • 美しいテーブルコーディネート美しいテーブルコーディネート
  • 田舎のキッチン田舎のキッチン
  • みんなでワイワイ準備みんなでワイワイ準備
  • ワイン担当は赤ワインをデカンタするワイン担当は赤ワインをデカンタする
  • 手軽なアンティパスト手軽なアンティパスト
  • 簡単、でも極上の味のパスタ簡単、でも極上の味のパスタ

さて、今月のお料理は、家庭でも簡単に作れるおもてなし料理、「カジキのアグロドルチェ」を紹介します。

レシピ

カジキのアグロドルチェ

カジキのアグロドルチェ

アグロ(酸っぱい)ドルチェ(甘い)はシチリアの伝統的な保存方法のひとつ。
伝統的にはワインビネガーで作るのですが、レモン果汁で作ってみたら柔らかい酸味で爽やかな風味が増しました。
お客様がいらっしゃる前に作り置きできるので、とっても便利!
赤玉ねぎがテーブルに色を添えてくれます。レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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