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シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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今が旬のレモン!シチリアレモン探訪記。

さっぱり、そして酸味の効いたレモンの旬は、なんとなく「夏」と思っていませんか?
いえいえ、レモンの旬は冬の一番寒い時期、つまり今の季節なのです。
シチリアのレモンは四季成りレモン。
1年を通して花が咲き、そして実を付けますが、夏のレモン(サマーレモン)は熟していないので緑のまま。
完熟するのは寒くなってきた1月以降。
今の季節が収穫真っ盛りなのです。
今月は冬のシチリアの街をレモンに注目して散策、そしてレモン農園を訪問した時のことをレポートしたいと思います。

シチリアの街でレモンを楽しもう!

シチリアレモンを求めてやってきたのはシチリアの州都パレルモ。
私の住むトラーパニから約100kmほど東にある人口68万人の大きな街です。
レモンを求めてまず最初にやってきたのは、パレルモ市民が買い物にやってくるマーケット。
入り口付近に早速見つけたのはレモンやオレンジなどだけを販売している柑橘屋台。
レモンと同じく今が旬のオレンジ。
価格は1kgで1~1.5ユーロと驚くほど安いのがシチリア。
シチリア人にとって欠かす事ができない柑橘類は決して高価なものではなく、お手頃価格で入手できる調味料、と言ったところでしょうか。
マーケットを歩いているとキオスコと呼ばれるドリンクスタンド。
ここで試したのは「Seltz(シェルツ)」というレモンドリンク。
これはたっぷりの搾りたてのレモン汁に塩を入れて炭酸水で割った、シチリア版のスポーツドリンク。
冬はもちろんの事、夏の暑い時期の水分補給に最適!
更に、レモンと言えば…のグラニータ。
グラニータはシャリシャリとした飲むかき氷のようなもの。
主にグラニータを楽しむのは暑い夏ですが、冬のパレルモでも発見。
冬に食べるグラニータはちょっぴり寒いですが、シチリアレモンの風味は健在。
そして忘れてはならないのがレモンのジェラート!
最近人気のジェラート屋さんに入ってみましょう。
レモンは人気なので夏でも冬でも定番のラインナップ。
シチリアではブリオッシュと呼ばれる柔らかいパンにジェラートを挟んだ、ジェラートバーガーが人気。
早速、レモンのジェラートを挟んだジェラートバーガーを注文。
ゲンコツよりも大きなものが出てきました。
最初は皆さんパンとジェラートの組み合わせに驚き、そしてその大きさに驚かれますが、食べてみると意外と美味しいこの組み合わせ。
ちょっと病みつきになりそうなジェラートバーガーです。

シチリアの街、歩いているだけでもやっぱり色々と目に入ってくるレモン。
ただ、シチリア人達は特別レモンを意識している、という訳ではないのが、いかにこの地でレモンが身近で、たくさん収穫されているかを表しているとも言えるでしょう。

  • マーケットの入り口にあった柑橘屋台。マーケットの入り口にあった柑橘屋台。
  • シチリア版スポーツドリンクSeltz(シェルツ)。シチリア版スポーツドリンクSeltz(シェルツ)。
  • レモンのジェラートをブリオッシュで挟む!レモンのジェラートをブリオッシュで挟む!

レモンが広がる地帯

シチリアレモンはシチリアのどのあたりで生産されているのでしょう?
シチリアのレモンの大生産地は州都パレルモの丘陵地帯コンカドーロ(肥沃な黄金の大地)から東に向かってメッシーナ、そしてメッシーナから南に降りてカターニャ、シラクーサまでの一帯。
もちろん、シチリア全土でレモンは栽培されていますが、先に記した辺りがレモン大生産地帯と呼べるでしょう。
それは湿度や降水量と関係しています。
私の住むトラーパニは年間降水量がシチリアの中でも非常に少ない地帯。
レモンやオレンジなどの柑橘類はアラブ地帯からやってきたため、大量の水分がなくても育ちますが、ある程度は水分が必要。
パレルモは近くに山脈が、メッシーナとカターニャはエトナ山という3000mを超える山の麓にあるため、トラーパニに比べると降水量も多く。
そのため、柑橘類が非常によく育つと言われています。

レモン農家さん訪問

それでは実際にレモン農家さんを訪問してみましょう!
訪問したのはメッシーナ県にある、とあるレモン農園。
周りは山に囲まれ、霧も出やすい地域とのこと。
一帯にはレモンのみならずオレンジもたくさん栽培されていて、見渡す限り柑橘類が植わっていました。
訪問したレモン農園は無農薬で栽培されている農園。
入り口の門をくぐると、まず最初に目に飛び込んできたのは、驚くほどたわわに実ったレモンの木達!
日頃、トラーパニでもレモンの木を見ている私ですが、こんなにたわわになるレモンの木がたくさん栽培されている光景はなかなかお目にかかることができません。
どの木を見てもたわわに実っていて、日ごろの手入れの良さが分かる農園です。
レモンの木は道に沿って右に左にずっと植わっています。
この道は収穫したレモンを運ぶためのもの。
農園は大きく、この道をしばらく歩いていくと、やっと収穫風景に。
5人がグループになって収穫中でした。
手にバケツを持ち、木にはしごをかけ、ひとつひとつハサミで切って収穫。
レモンの木はトゲがたくさんありますが皆さん素手で収穫。

「痛くないんですか?」

と聞いてみると、

「もう慣れっこだからね!手の皮が厚くなったよ、はっ、はっ、はっ!」

と豪快に笑い飛ばすおじちゃん達。
収穫されたレモンは真っ黄色の完熟レモン!
何と美しい色でしょう!

  • レモンを運ぶための道、左右にレモンの木が植わっています。レモンを運ぶための道、左右にレモンの木が植わっています。
  • 美しい黄色のシチリアレモン!美しい黄色のシチリアレモン!
  • レモンの収穫風景、あっ!という間にどんどんケースがいっぱいになっていきますレモンの収穫風景、あっ!という間にどんどんケースがいっぱいになっていきます

レモンの街での食事はやっぱりレモン三昧!

レモンの収穫を見学した後は、近くの街のトラットリアで昼食。
レモン畑があった場所は山間でしたが、車で10分くらい走るとそこは海の街。
ならばシチリアの海の幸を楽しみましょう!
席について注文を済ませるとまずドン!と出てきたのが、パンと山盛りレモン!
パンはどこのトラットリアでも出てきますが、レモンが山盛り出てくるのはさすがレモンの大生産地帯。
注文したアンティパスト(前菜)の盛り合わせにも、付け合わせの野菜のクタクタ煮にも、そして魚のグリルの盛り合わせにも…どのお皿にもレモン!
そして最後はレモンのシャーベットで締めくくり。

シチリアレモンは食べてみても酸っぱい!という感じがあまりしません。
酸味よりも最初に感じるのはミネラル感。
それはきっと大地のミネラル、そして海からやってくるミネラルをたっぷりと吸って育っているからでしょう。

冬の完熟したレモンをギュッ、と手で搾ると驚くくらいの量のジュースが搾れます。
この時期にシチリアを旅する機会があったら、是非、マーケットでレモンを買ってみて試してみてください。
シチリアレモンの豊かな風味と爽やかさを実感していただけることでしょう!

  • 魚介のグリルの盛り合わせ、もちろんレモンをたっぷり搾って頂きます!魚介のグリルの盛り合わせ、もちろんレモンをたっぷり搾って頂きます!
  • 山盛りのレモンが添えられます。
		山盛りのレモンが添えられます。
  • レモンのシャーベットで食事を締めくくります。レモンのシャーベットで食事を締めくくります。

レシピ

カジキのレモン煮 ケッパーの香り

カジキのレモン煮 ケッパーの香り

今月はレモンをたっぷり使ったシンプルな魚の軽い煮込みを紹介します。 塩漬けケッパーをポイントに加えました。 何に使ったら良いかよくわからない、と言われることが多い塩漬けケッパーですが、白身魚、そしてレモンとの相性は抜群! いつもの魚料理にケッパーを加える事で、より深みが出る事間違いなし。

レシピはこちら
佐藤礼子 佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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