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シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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2月のシチリアは一足早いお花見の季節です

まだまだ寒いシチリアの2月。
でも中旬を過ぎると太陽の光が春めいてきて、野の花が咲き始めたり、12月にまかれた麦が育ってきたり…。
自然を眺めていると、もう少しで春がやってくる事を感じることができます。
そして2月に咲く花と言えば、忘れてはならないのがアーモンドの花!
アーモンドの花は、私達に春まであともう少し!とシチリアの春の訪れの兆しを感じさせてくれるのです。

桜にそっくりなアーモンドの花と、冬の青い海

2月の天気の良い週末は夏の混雑とは全く様相の違う冬の海を楽しみに、よくドライブへ行きます。
ドライブしていると見える、あちらこちらに咲いている桜にそっくりな花、それがアーモンドの花。
日本より一足お先にお花見シーズンを迎えます。
と言っても、アーモンドの花を愛でてお花見、のようなことはシチリアの人はしません。
それはおそらく常に大自然の美しい四季の風景に囲まれて育っているからでしょう。
でも日本人の私としてはやはり桜のように美しい花を見ると、思わず車を停めて眺めてしまいます。
アーモンドの花が桜の花にそっくりなのは、アーモンドは「サクラ属」という桜と同じ属に分類されるから。
枝に沿って花が付いているため、桜のように木の上部全体が花で覆われる事はありませんが、青い空をバックに咲く少しピンクがかった白いお花は可憐で美しい。
アーモンドの木は鑑賞用ではなく、実を収穫するために植えられたため古い木が多く、
列を成さずランダムに植えられています。
あちこちに咲くアーモンドの花を眺めながら車を走らせ、辿りつくのは真っ青な海。
野の美しさから、こんどは海の美しさへ…。
シチリアは四季を問わず美しい大自然に囲まれているのだな、とつくづく感じる瞬間です。

  • 樹齢100年は超えているであろうアーモンドの木。樹齢100年は超えているであろうアーモンドの木。
  • アーモンド畑を抜けると真っ青な海が広がります!アーモンド畑を抜けると真っ青な海が広がります!
  • ドライブ中にはこんな風景にもよく出会います。羊様のお通り~。ドライブ中にはこんな風景にもよく出会います。羊様のお通り~。

アグリジェントのアーモンドの花祭り

シチリアの南西部にあるアグリジェントのギリシャ神殿群。
世界遺産にも登録されているシチリアを代表する史跡です。
その神殿群がある谷にはアーモンドの木が群生していることで知られていて、2月の寒い時期でも世界各国から美しいアーモンドの花を眺めに観光にやってくる人で賑わいます。
アーモンドの花が咲く2月~3月にかけての週末にはアーモンドの花祭りが開催されます。
アーモンドの花祭りは1934年にアルフォンソ・ガエターニ伯爵が開催したのを最初に、今年で73回目を迎える伝統的なお祭り。
祭りではアーモンドの花を愛でつつ、春の訪れを祝います。
世界から集まったフォークグループが民族衣装を着てその国の民謡に合わせて踊ったり、シチリアの特産品の屋台が並んだりと、とにかく賑やか。
紀元前5世紀に建てられた神殿を取り巻くようにして植わっているアーモンドの木は、神殿をまるで祝福するかのように花を咲かせ、日本よりも少し早い春の訪れを感じる事ができます。

  • アーモンドの花の下には黄色いお花。春までもう少し!アーモンドの花の下には黄色いお花。春までもう少し!
  • カラブリア州からやってきたサラミ屋さん。シチリアだけではなく、近隣の州からも生産者がやってきます。カラブリア州からやってきたサラミ屋さん。シチリアだけではなく、近隣の州からも生産者がやってきます。
  • アグリジェント旧市街の古い街並み。アグリジェント旧市街の古い街並み。

シチリア料理&菓子に欠かせないアーモンド

世界でも栄養価が高いことで知られるシチリアのアーモンドは、9世紀にシチリアを支配していたアラブ人によりもたらされたと言われています。
イタリアは各地にその土地の郷土料理や郷土菓子がありますが、「その土地にあるもので作る」というのが基本。
シチリアの伝統菓子にアーモンドが非常によく使われるのは、シチリアがアーモンドの名産地だから。
そしてアーモンドはお菓子だけではなく、意外かもしれませんが料理にも使われます。
その中でも私が特に好きなのがマンマの作るポルペッテ!
ポルペッテは日本語では肉団子。
マンマの大きな手で作るポルペッテの中には細かく砕いたローストアーモンドがたっぷり入っています。
大きなポルペッテを頬張ると、アーモンドの香ばしさとコクがじわ~と口の中に広がり、それはもう至福の時!
アーモンドは通年お菓子にも料理にも使われますが、アーモンドの花咲く季節にアーモンドを使った料理を食べると、春の訪れを感じると共に、アーモンドの実が成る夏が待ち遠しい。

シチリアはすごく身近に大自然が広がるので、四季折々の風景や空気感を楽しみながら1年を過ごす事ができる魅力的な島。
今年もアーモンドのお花見が楽しみです!

  • 収穫後、外皮を取ると固い殻が出てきます。庭の片隅にて、天日で乾かしてから保存します。収穫後、外皮を取ると固い殻が出てきます。庭の片隅にて、天日で乾かしてから保存します。
  • 大きなポルペッテ作成中。大きなポルペッテ作成中。
  • 大きなポルペッテがゴロン!レストランでは食べる事のできないご馳走です。大きなポルペッテがゴロン!レストランでは食べる事のできないご馳走です。

今月の料理はアーモンドを使ったポルペッテをご紹介します。

レシピ

シチリア風ポルペッテ レモンのソース

シチリア風ポルペッテ レモンのソース

マンマのポルペッテはトマトソースで煮込みますが、今日ご紹介するのはレモンソースのポルペッテ。
ローストしたアーモンドの香ばしい風味がとっても美味しいポルペッテ。
シチリアを代表する木の実アーモンドと、シチリアを代表する柑橘類レモンのコンビが、あなたの食卓にシチリアの風をお届けします。
レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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