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シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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シチリアにも冬はやってくる ~ 東シチリア観光案内

2018年、あけましておめでとうございます!
今年も張り切ってシチリアからの風を日本の皆さんにお届けします。
どうぞよろしくお願い致します!

年が明け1月6日までのクリスマスシーズンが終了すると、シチリアの街からは観光客が減り、シーンと静まる季節となります。
「シチリアは冬でも暖かいのですか?」という質問を良くされますが、シチリアにも冬はきちんとやってきます。
私が住んでいるトラーパニの1月の最高気温は15℃、夜は8℃程度。
気温だけ聞くと、意外と暖かいような感じもしますが、半島のように海に突き出しているトラーパニは、「風の街」と言われるほどいつも風が強く実際の気温よりも寒く感じられ、1月~2月にかけては1年の中でも、最も寒さを感じる季節となります。
シチリアのイメージと言えば、暑い夏、そして青い空!青い海!
それとはまったくかけ離れたイメージの1月のシチリアですが、今のシーズンは観光都市シチリアではなく、島民の暮らしを垣間見ることができる季節でもあります。
そして、オレンジ、フェンネル、アーティチョークなど、夏には食べられない美味しい旬の食材の宝庫の季節!
飛行機や宿泊など旅費も夏に比べるとグンと安く、美術館や教会も空いているので列に並ぶ事なく入れ、そしてゆっくりとみる事が出来ます。
冬のシチリアは、暑いのが苦手、人ごみが苦手、シチリアを暮らすように旅したい、という方におすすめの旅行シーズンでもあるのです。

  • 黄緑のカリフラワー、茹でるとクリーミーでとっても美味しい冬の旬。黄緑のカリフラワー、茹でるとクリーミーでとっても美味しい冬の旬。
  • 市場にはオレンジがずらり!市場にはオレンジがずらり!
  • 冬野菜が並ぶ市場。冬野菜が並ぶ市場。

シチリア島、西部と東部

シチリア島は四国の2倍、九州の3/4の大きさ。
私の住む西の端トラーパニから東の端メッシーナまでは 330km、車で約4時間の距離です。
おそらく皆さんが想像しているよりもシチリア島は大きい島です。
アフリカに近い西シチリアはイスラム文化の影響を強く受け、ギリシャが近い東シチリアはギリシャ文化の影響を強く受けているため、街の感じや食文化も同じ島なのに異なる点が多いのもシチリアの大きな魅力です。
そこで今回のコラムでは私が住んでいる西部とは反対側の東シチリアの街とその魅力を皆さんにご紹介したいと思います。
(残念ながら冬季の写真がないため、写真は夏の写真を使わせていただきたいと思います。)

東シチリアの玄関口、モノトーンの街カターニア

日本からシチリアに来る場合、西シチリアの玄関が州都のパレルモなら、東シチリアの玄関はシチリア第2の都市カターニア。
標高3350mのエトナ山と地中海の間に広がるカターニアの街。
エトナ山で採石した黒い火山岩とカターニアの東側で採石される白い石で建てられたバロック様式の建築物が立ち並び、街はモノトーンで統一されとてもエレガント。東シチリアの8つのバロックの街の一つとして世界遺産にも登録されています。
カターニアの街はいつも活気に満ち溢れ、街の中心通りヴィアエトネアはショッピングを楽しむ人々で通年賑わいます。
そしてカターニアの魅力と言えば2つの市場。
1つは、ドォーモ広場の裏に広がるペスケリアと呼ばれる魚市場。地中海でとれた超新鮮な魚が並びます。
小さなケースをいくつか並べてその日にとれた数種類の魚だけを売る漁師ゾーン、そしてもう少し奥に行くと大きなテントでカジキなどの大型魚から小さな魚まで様々な魚を扱う魚屋ゾーン。
いずれのゾーンもおじさん達が大きな声を出しながら呼び込むのは、世界各国共通。
魚市場の中には新鮮な魚料理を食べさせてくれるレストランが数軒。
そして、魚市場を取り巻くように、八百屋、肉屋が並び、地元の主婦、レストランのシェフ、観光客、色々な人が混ざって、いつ行ってもものすごい活気!
そしてもう1つの市場は、カターニア市民が通うカルロ・アルベルト広場の市場。こちらは魚、野菜、肉、シチリア食材、雑貨が所狭しと並ぶ、なんでも揃うワンダーランド!
観光客は比較的少なく、地元民気分を味わう事ができます。食べる事が大好き!な私は旅先では必ずその街や市場を訪れます。
なぜなら市場はその時期の旬、そして地元の人達がどんなものを食べているかを垣間見る事ができる数少ない場所だからです。
ただし、市場は大体あまり環境が良い場所にあるとは言えず、皆さんも市場を観光する際には、貴重品は持って行かず、軽装で行くことをおススメします。

  • 魚市場には近海でとれた新鮮な魚がいっぱい!魚市場には近海でとれた新鮮な魚がいっぱい!
  • モノトーンの街は、ライトアップされる夜が美しい。モノトーンの街は、ライトアップされる夜が美しい。
  • 魚市場横にはグリル野菜を売る屋台も。魚市場横にはグリル野菜を売る屋台も。

B級グルメを市場で楽しもう!古代都市シラク―サ

かつてギリシャの首都だったシラクーサ。
街の中にはギリシャ遺跡やギリシャ人の名前が付いた広場などなど、ギリシャの影響を強く受けた街であることが垣間見れます。
ドォーモは紀元前5世紀に建てられたギリシャ神殿の跡地に建てられ、柱は当時のギリシャ神殿のものだというから驚きです。
シラクーサの旧市街の中心地はオルティージャ島。
島と言っても橋で渡ることができるため、ほとんど島という感じはしませんが、トラーパニのようにぐるりと海で囲まれているため、どことなく雰囲気はトラーパニに似ています。
街は小さく落ち着いた雰囲気で、安心して観光ができる街のひとつ。
オルティージャ島の入り口近くにある市場では、新鮮な食材が山積みになっているのはもちろん、B級グルメも楽しめます!
牡蠣とフリッツァンテという発泡酒、シチリアレモンがギュッとしぼられた茹蛸、絞りたてのオレンジジュース…
市場は目で見るだけでも十分楽しいですが、観光中はなかなか食材を買う事もできないもの。
新鮮食材がその場で楽しめるのは、食いしん坊にとってはとっても嬉しい!
シラクーサの市場はお腹を空かせていくことをおススメします。

  • シラクーサの港。シラクーサの港。
  • オレンジジュースおばさん、絞りたてジュースが楽しめます。オレンジジュースおばさん、絞りたてジュースが楽しめます。
  • 市場にはスパイスも並びます。市場にはスパイスも並びます。

VIPがバカンスを満喫!シチリアきっての観光都市 タオルミーナ

映画の舞台となって一躍有名になったタオルミーナ。
現在は世界全国からVIPが集まる世界的なリゾート地となりました。
タオルミーナは小高い山の中腹にある、青く美しいイオニア海を見下ろし、エトナ山を眺める事ができる風光明媚な街。
そしてここもかつてギリシャの植民地であったことを裏付けるギリシャ劇場があります。
メインストリートにはブランドショップやおしゃれなショップが並び、VIP達がお買い物。
ちょっと1本奥まった小道には気の利いた雑貨屋さんや、陶器のお店。
疲れたらバールに座って夏ならグラニータ(シチリア風かき氷)を食べて喉を潤し、冬なら温かい飲み物で冷たくなった手をあたためることができます。
何かを見に行く…というよりも、ぷらぷらとお散歩をしながら、街の雰囲気自体を楽しむのがタオルミーナの楽しみ方。

  • ギリシャ劇場、悠久の歴史を感じます。ギリシャ劇場、悠久の歴史を感じます。
  • 街はカラフル!街はカラフル!
  • 街の下に降りると美しい海岸。街の下に降りると美しい海岸。

エトナ山麓の小さな街で造られる世界最高水準の食材やワイン

エトナ山は現在も時折噴火している活火山。
そしてこの山麓には火山のミネラルを豊富に含んだ肥沃な大地が広がります。
エトナ山麓の小さな街では、その肥沃な大地を利用してブドウ、オレンジを始めとした多くの食物が栽培されています。
ピスタチオもその一つ。
ブロンテという小さな街を中心として栽培されるピスタチオは、非常に濃い緑色。
食べてみるとその味の濃さに驚きます。
生産者の方曰く、エトナの恵みがその色と味をもたらせてくれるそうです。
最近ではエトナ山麓で造られるワインも世界から注目されています。

  • エトナ山麓のワイナリー、噴火しているエトナ山を望むことができます。エトナ山麓のワイナリー、噴火しているエトナ山を望むことができます。
  • ピスタチオの街ブロンテでは、ピスタチオを使ったお菓子がショーケースに並びます。ピスタチオの街ブロンテでは、ピスタチオを使ったお菓子がショーケースに並びます。
  • エトナらしい軽快な赤ワイン、フレッシュ感がたっぷりで美味しい!エトナらしい軽快な赤ワイン、フレッシュ感がたっぷりで美味しい!

シチリアは文化も食も非常にバラエティーに富んだ島。
それは長い歴史の中で多くの民族が入植し、それぞれの文化の足跡を残してきました。
西シチリアと東シチリアでは、街の雰囲気も食文化も異なる点がたくさんあるのですが、正確に言えばそれぞれの街にそれぞれの文化がある、と言っても過言ではありません。

今年で14年目となるシチリア生活ですが、まだまだ新たな発見がたくさんある、魅惑の島です!

レシピ

シチリア風オレンジのサラダ

シチリア風オレンジのサラダ

冬のシチリアの旬と言えば、オレンジ!
シチリアでは柑橘類を料理によく使いますが、オレンジのサラダはその代表格。
現地ではオレンジとフェンネルを合わせるのが定番ですが、フェンネルは日本では手に入りにくいので赤玉ねぎで代用。
甘いオレンジにレモンの酸味…
シチリア感満載の一皿です。
レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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