おいしい!ひらめきがある POKKA SAPPORO

シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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夏は保存食作り!色とりどりの夏野菜が収穫できます!

いよいよ夏真っ盛りの8月!
トラーパニは6月に入るとほとんど雨が降ることが無く、雑草も枯れるほど大地は乾き、街を抜けると茶色い大地があたり一面にひろがります。
でもそんな乾いた大地で作られた夏野菜達のおいしいことと言ったら!
大地の力と太陽の恵みで大量に収穫できる夏野菜。
8月は保存食作りに励む季節でもあります。

夏の畑はカラフルな夏野菜がたくさん!

色濃く、味も濃いおいしい夏野菜は夏の楽しみのひとつ!
私の夫の実家では、毎年たくさんの夏野菜を育てています。
シチリアに来てから10年以上、家族が集まる日曜日には野菜の成長を見るのが私の楽しみのひとつでもありました。
そして昨年、私が引っ越した家には小さな土地があり、10年間溜めてきた知識を実践すべく、私も畑にチャレンジしてみました!
トマト、ナス、ピーマン、ズッキーニ等、代表的な夏野菜を植えてみたところ、驚くほどたくさんできた野菜達にビックリ!
特にズッキーニは、朝起きてチェックしてみると、一晩で数センチも育つという恐るべしスピードでグングン大きくなっていきます。
ナスも気が付くと、あちらこちらに小さな実が成っていて、あっ!という間に大きくなります。
トマトはもう枯れそうな枝にも実が付き始めます。
大して手間もかけていないのに、こんなに育つとは・・・シチリアの土の強さと太陽の恵みを感じられずにはいられません。

山盛りになった色とりどりの夏野菜達は市場も賑わせます。
地元のマンマ達も袋いっぱいにお買い物。
きっとおうちの食卓においしい野菜料理がずらりと並んでいることでしょう。

  • 我が家の家庭菜園。多い時はこんなに収穫。我が家の家庭菜園。多い時はこんなに収穫。
  • 市場には、色々な種類のトマト市場には、色々な種類のトマト

夏野菜で保存食を作ろう!トマトソース大作戦!

夏野菜の保存食の代表と言えばトマトソース作り。
初めてトラーパニで夏を過ごした年、当時友人だった現在の夫が、料理留学をしている私に
「実家でトマトソース作りをするけれど見に来る?」
と誘ってくれ、ワクワクしてお邪魔しました。
そこで目の当たりにしたのが、普通の家庭とは思えないほど大量のトマトソース作り!
庭にずらりとならんだ真っ赤に熟したトマトは、お父さんが自宅の裏にある畑で栽培したもの。
畑の入り口には私が入れるくらいの大きな鍋とドラム缶。そしてなにやら古い道具達。
キッチンの鍋で十数缶くらいのトマトソースを作るのだろう…と思っていた私は、まずはこの風景を見ただけで度肝を抜かれました。

トマトソース作りはまずはトマトを洗います。(真夏の太陽の下では、これだけでも大変!)
そして、春先に剪定したオリーブの木で火をおこし、例の大きな鍋で湯を沸かします。
そこに洗ったトマトを入れ、皮がはがれやすくなるように軽く煮ます。
そのトマトを夫が中学生の時に壊れた洗濯機のモーターを使って作ったという裏ごし器にかけると…出てくるのは真っ赤なトマトジュース!
これを洗面器に注ぎ口を付けたという、これまた手作りの道具を使って、毎年ソース入れとして使っている古い瓶に注いでいきます。
瓶のふたは王冠。
王冠を閉める道具を使ってギュッ、ギュッと力強く締めていきます。
ふたは閉まりましたがまだまだここで終わり、ではありません。
1年間保存させるには煮沸消毒をしなければならないのですが、なんとドラム缶を直火にかけての煮沸消毒!
瓶と瓶が割れないように緩衝材として使うのは藁…。
瓶と瓶の間に藁を入れ、煮沸中に動かないように固定したら、水を張り、木を燃やし始めます。
沸騰するまで約1時間。
沸騰したら2時間煮沸して翌朝まで放置。
こうしてようやく1年間保存ができるおいしいトマトソースができ上がるのです。
丸々1日がかりでのトマトソース作り。
トマトが熟す時期が少しずつずれるため、8月中に2~3回、同じ作業を繰り返し、1年間でトマトソースに使うトマトの量は数百キロ、500本以上のトマトソース瓶ができ上がるのです。

でき上がったトマトソースは、親戚や娘息子家族全員で分けて使います。

マンマは、
「大変だけど家族のためと思えば楽しいものよ!」
と言い、大汗をかきながら仕事をしていました。

暑い中の1日仕事のトマトソース大作戦!のお楽しみは、夜のBBQ!
ドラム缶で熱湯消毒している間、そこから少し炭を取ってお庭の片隅でサルシッチャ(生ソーセージ)をジュージュー。
こんがりと焼けたサルシッチャは極上の味!
1日の疲れも吹っ飛びます。

  • 瓶にソースを詰めていきます。瓶にソースを詰めていきます。
  • 藁を緩衝材にしながら瓶をドラム缶に詰めていき、水をドラム缶いっぱいに注ぎます。藁を緩衝材にしながら瓶をドラム缶に詰めていき、水をドラム缶いっぱいに注ぎます。
  • 全部入れたら上から巨大な石でおもしをします。全部入れたら上から巨大な石でおもしをします。

夏野菜で保存食を作ろう!夏の定番料理、夏野菜のカポナータ

今では私も家で毎年トマトソース作りに励むのが恒例となりましたが、大好きな夏野菜を寒い冬にも味わいたい!と思い作り始めたのが夏野菜のカポナータ。
去年はついに夢だった自家製夏野菜でのカポナータ作りができました!
保存食はその季節にたくさんできてしまった食べきれない野菜を、時間が経っても食べられるように加工して、作物を無駄にしないようにと生まれた先人の知恵。
こうして自分で野菜を作ってみると、その意味が分かり…。何故ならシチリアでは夏野菜がすごい勢いで育つのです!
毎日、たくさん食べても消費が追いつかない…嬉しい悲鳴です!

カポナータはもともとは全ての材料を揚げて最後に合わせるのが基本ですが、油は保存すると劣化します。
ある時、私の知り合いのとあるマンマから「油を使わないカポナータ」を習いました。
それは、ナス、ピーマン、玉ねぎ、セロリ、トマトソース等…、材料を全て天板に入れてオーブンで一気に野菜を焼く…という非常にシンプルな方法。
野菜の水分がオーブンの熱で上手に飛び、味が凝縮され、なおかつ油が劣化することがない…。保存食には理想的!
それからはもっぱらこの作り方で、毎年せっせと仕込んでは冬用に保存しています。
カポナータはお酢と砂糖を使ってアグロドルチェ(甘酢風味)に仕上げるのがポイント。
それは冷蔵庫がなかった時代に、先人たちが考えた保存性を上げるための方法。
シチリアにはアグロドルチェな料理がたくさんあるのは、やはりシチリアは南の暑い島だから。

カポナータを作った日のお昼ごはんはいつもカポナータパスタ。
茹でたパスタを和えるだけ…のお手軽ごはんです。
カポナータを作っておけば、ごはんと一緒に食べてもおいしく、ちょっとした付け合わせにもなります。
忙しい時には大活躍!

  • パッサポモドーロと呼ばれる手動の道具でトマトを裏ごしします。パッサポモドーロと呼ばれる手動の道具でトマトを裏ごしします。
  • カポナータは、天板に材料を全部乗せてトマトソースを全体に絡めたらオーブンへ!カポナータは、天板に材料を全部乗せてトマトソースを全体に絡めたらオーブンへ!

トマトソースもカポナータも、元々は一気に収穫時期を迎える旬の食材を無駄なく、保存するためのものでしたが、今となっては忙しいけれどおいしい食事を楽しみたい!という時のお役立ちの一品と言えるかもしれません。
皆さんも、時間がある時に是非試してみてくださいね。

さて、今月の料理は先に説明したアグロドルチェな一皿をレモンとはちみつを使って仕上げてみましょう!

レシピ

夏野菜の軽い煮込み はちみつレモンとミントの香り

夏野菜の軽い煮込み はちみつレモンとミントの香り

材料を切って鍋に入れてフタをして煮込むだけ。
野菜は崩れるくらいまでじっくり煮るのが、おいしくできるポイントです。

レモンとはちみつで夏の疲れを吹き飛ばしましょう! レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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