おいしい!ひらめきがある POKKA SAPPORO

シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

27
シチリアは冬にも美味しいものが沢山!~冬の旬を楽しもう!

あけましておめでとうございます!
今年で3回目の新年を迎えるコラムとなりますが、本年度もどうぞよろしくお願い致します。

シチリアの冬、皆さん想像できますか?
シチリアと言えば、青い空、青い海!という夏の風景を想像される方が多いと思いますが、1月のシチリアは結構冷え込み、ダウンジャケットを着こむほど寒くなります。
トラーパニは海抜が低く、シチリアの中でも比較的温暖な地域ですので、シチリア内陸部の山の中に行ったらそれはそれは寒いことでしょう。
でも冬はシチリアには楽しみがない…と思ったらそれは大間違い!
シチリアの冬にはこの時期にしか味わう事ができない旬がたくさんあるのです。

農民市場で農民料理を教わる~農家さんから聞く美味しい旬の味わい方

トラーパニ市では土曜日に、エリチェ市では水曜日に開かれる農民市場。
トラーパニの街はトラーパニ市とエリチェ市の境界にあり、私の住む家があるのはエリチェ市ですが、車で5分ほど走るとそこはトラーパニ市。なのでどちらの農民市場に行くこともできます。
農民市場とはその名の通り、農家さん達が自分達の手で育てた野菜、果物、加工品を持ってきて販売する直売の市場。
日本では「ファーマーズマーケット」と呼びますが、雰囲気的には「農民市場」がしっくりとくるこの市場。 人の良さそうな農家さん達が元気よく旬の食材を販売しています。
農民市場に並ぶのは旬の野菜や果物ばかり!
右を向いても、左を向いても、どの農家さんも同じような品揃え。
冬の季節に夏野菜は並びません。
この市場の魅力は色々な農家さんを周って、その日に「これが美味しそう!」と思った農家さんから直接買う事ができる事。
そして何よりも楽しいのが、農家さんから旬の食材の美味しい食べ方を聞く事。
この土地に長く住んで、誰よりも食材に詳しい農家さん達。
今日のお昼ごはんは何にしようかな、と思っている時には、野菜を買いながらその野菜の美味しいレシピも聞き出しちゃいます。
日常の食卓はひとつの料理を作るためにわざわざ買い物をするわけではなく、その日に市場に並んでいる旬の食材を見てから何を作るか決めるのがシチリア流。
なので、私にとって農民市場は欠かせない生活の一部なのです。

  • いつも変わった野菜を持っている農家さん、この日はなんと青梗菜! いつも変わった野菜を持っている農家さん、この日はなんと青梗菜!
  • 冬でも賑わう農民市場。 冬でも賑わう農民市場。
  • 炭火焼が一番だよ!というカルチョーフィ農家さん。 炭火焼が一番だよ!というカルチョーフィ農家さん。

市場に並ぶ今が旬!の冬野菜を楽しもう!

シチリアの冬の旬は、日本の食卓ではあまりお目にかからないものがたくさん並びます。
まず、この時期、必ず山積みになっているのが、フィノッキオ(フェンネル)、カルチョーフィ(アーティチョーク)、黄緑色のカリフラワー、この3つ。
夏野菜は温室で冬に作ることはできますが、冬野菜は暑い暑いシチリアの夏に作ることはできません。
冬にシチリアを旅したら、キッチンが付いているアパルタメントを借りて是非とも味わって頂きたい食材です。
(キッチン付アパルタメントに関しては第9回(リンク)をご参考下さい) とは言っても、日本ではあまり馴染みのないこの野菜達、一体どうやって食べたら良いのでしょう?
旅の最中なので凝った料理は面倒臭い、という方は、茹でてたっぷりのオリーブオイルをかけていただきましょう。
ポイントはどの野菜もクタクタになるまで茹でる事。
イタリア野菜はクタクタに茹でる事で繊維質が適度に壊れ美味しくいただく事ができます。
食材の美味しさをダイレクトに味わっていただけること間違いなし!
ちょっと料理をしてみたい、という方は、フィノッキオは同じく今が旬のオレンジと合わせてサラダに、カルチョーフィは中を洗って塩、こしょう、イタリアンパセリを上から詰めて蒸し煮に、カリフラワーはクタクタに茹でてからフライパンでアンチョビと一緒に炒めてパスタを絡めて、簡単に旬の食卓の出来上がり!

  • 山積みになったカルチョーフィ。 山積みになったカルチョーフィ。
  • 爽やかな香りのフェンネル。 爽やかな香りのフェンネル。
  • 巨大な黄緑色のカリフラワー。 巨大な黄緑色のカリフラワー。

冬の朝は搾りたてオレンジジュースで始まります

シチリアの冬に欠かせないのがかんきつ類、オレンジとレモンです!
シチリアオレンジ、シチリアレモンと言えば、日本だけではなく世界でも有名。
今の季節は市場にも八百屋にも山になって並びます。
そして冬のお楽しみのひとつ、それが毎朝の搾りたてオレンジジュース!
シチリアのオレンジは甘いだけではなく酸味もしっかり残っています。
そして驚くほどジューシー。
朝起きたらすぐに2~3個搾って作るグラス1杯のオレンジジュースは、目も、体も覚ましてくれます。

  • 今が旬のオレンジ。暗い色の野菜が多い市場に華やかな色を添えます。 今が旬のオレンジ。暗い色の野菜が多い市場に華やかな色を添えます。
  • 毎年作るマーマレードは、こんな鮮やかな色! 毎年作るマーマレードは、こんな鮮やかな色!
  • 毎年作るマーマレードは、パンに沿えて朝ごはんに。 毎年作るマーマレードは、パンに沿えて朝ごはんに。

出来立てリコッタを楽しむ贅沢

冬の楽しみのひとつと言えば、ホカホカの出来立てリコッタをチーズ工房で食べる事!
リコッタはチーズを作った後の乳清(ホエー)をもう一度、煮立てて作る豆腐のような食感のもの。
日本では「リコッタチーズ」と呼ばれますが、シチリアではチーズには分類されず、リコッタはリコッタとして扱われています。
シチリアはかつて受けたアラブの影響が色濃く残っていますが、その一つが羊の飼育。
シチリアの一部の地域を除く多くの地域では羊乳からチーズを作りますが、シチリアのチーズの季節と言えばかつては冬でした。
なぜなら、冬は羊たちが生の草を食べる事ができる季節だから。
トラーパニ近郊でも冬の季節は羊が草を食べるために群れを成して移動する風景があちらこちらで見かけられます。
夏の間は、暑さと水不足で草も枯れてしまうシチリア。
干し草を食べる羊からは美味しい羊乳を搾ることができないため、かつては夏の間はチーズ作りは行われていませんでした。
実際、私がトラーパニに来た2005年は、料理にリコッタを使いたい時にはチーズ屋さんにあらかじめ予約をしていました。
今では衛生面も向上したチーズ工房が増えたせいか、夏の間でも作っていますが、やっぱり美味しいのは冬の季節。
冬の週末には友達と一緒に丘の上のチーズ工房に朝早く行って、出来立てのリコッタをその場で食べるのが楽しみのひとつ!
みんな、朝ごはんを食べずにやってくるのでお腹がペコペコ。
フワ~と浮かんでくるリコッタをワクワクしながら待ちます。
浮かんできたらそれをすくって、乳清と一緒に一気に頬張ります!
アツアツの出来立てリコッタは、ほんのりとした甘みと製造過程でいれる塩が絶妙のバランス。
友人たちはどんぶり一杯くらいをペロリと平らげます。
さすが食べる事大好きなシチリア人!と、毎回感心するのでした。

リコッタを楽しんだ後は心も体もポカポカ。
冬にしか楽しむことのできない食のイベントのひとつです。

夏のシチリアは真っ青な海という大きな楽しみがあるのですが、冬には冬の楽しみ方があるシチリア。
いつの季節も楽しいシチリア生活。
この土地に住み始めて14年目を迎えましたが、新しい楽しみが沢山のシチリアです!

  • チーズ工房の羊たち。 チーズ工房の羊たち。
  • 乳清を加熱すると少しずつ浮いてくるリコッタ。 乳清を加熱すると少しずつ浮いてくるリコッタ。
  • 自家製のお菓子もご馳走してくれました。 自家製のお菓子もご馳走してくれました。

レシピ

ローリエとレモンのハーブティー

鶏肉とレモンの煮込み ローズマリーの香り

今月はシチリアの家庭で冬によく飲まれているハーブティーをご紹介します。 体調を崩しやすい冬の季節になると決まってシチリアマンマ達が準備してくれるのがレモンローリエティー。 このハーブティーはシチリアでは食べ過ぎる事が多いお正月の季節、食後に、寝る前に飲みます。 ホットで飲むと体も温まるので寒い冬にぴったりのハーブティーです。

レシピはこちら
佐藤礼子 佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

一覧に戻る

ポッカレモン 有機レモン シチリア産ストレート果汁100% ブランドサイトはこちら