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シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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復活祭、トラーパニではミステリ達が大行進!

4月のシチリアは暖かくなり始め、野の花があたり一面に咲き乱れ、太陽の光も段々強くなってきて、すっかり春の訪れを感じさせます。
そしてこの時期、春と一緒に毎年やってくるのが「復活祭」というキリスト教のお祭り。
復活祭はイタリア語では「パスクワ」。
日本では英語の「イースター」という言葉の方がおなじみかもしれません。
信仰心の厚いシチリアではクリスマスと同じくらい重要なキリスト教行事のひとつ。
復活祭のある1週間は、学校はもちろんお休み。
カレンダーの暦では復活祭の日とその翌日の2日のみがお休みですが、この1週間は仕事を休む人も多く。
復活祭を祝う事で、シチリアには本格的な春の訪れがやってきます。

  • 春の野の風景
  • 春の野の風景
春の野の風景

復活祭はいつやってくる?

復活祭は毎年日付が変わる移動休暇。
それではどうやって復活祭の日を制定するのでしょうか?
復活祭は、「春分の日の次の満月の後の、最初の日曜日」と決められています。
ですので春分の日(3月20日か21日)より前に復活祭がやってくることはありません。
ちなみに2017年の復活祭は4月16日とちょっと遅め。
去年の復活祭は3月27日と、春分の日のすぐ後と比較的早くやってきましたが、2018年は4月1日、2019年は4月21日、2020年は4月12日・・・というように、4月の上旬~中旬にかけてやってくることが多いです。

復活祭は何をお祝いするお祭り?

復活祭はその名の通り、「キリストの復活」をお祝いするお祭り。
そして復活祭はその日1日だけを祝う訳ではありません。
キリストは金曜日に十字架にかけられ、その3日後の日曜日に復活した、と言われています。
まずカーニバルが終了後、40日間の「四旬節」という期間に入った後、復活祭に向けては様々な行事が行われます。
四旬節の期間はキリストの受難の時期。
なので贅沢な暮らしをせずに節食をし祈りを捧げる期間となります。
(その前にたくさん飲んで、たくさん騒ぐ!というのがカーニバル期間です。)
この時期、教会では特別な礼拝が行われたり、キリストの物語にそった行事が行われたりします。
街のショーケースには復活祭のシンボル「卵」の形のオブジェが飾られ、復活祭が近づいてきたことが感じられます。

  • 卵のオブジェ
  • 卵のオブジェ
卵のオブジェ

特に復活祭前の最後の1週間は「聖週間」と言われ、様々な行事が行われます。
復活祭の1週間前の日曜日は「枝の主日」と言われ重要な日のひとつ。
この日はキリストがエルサレムに入城した日と言われていて、その時にエルサレムの人々が棕櫚の枝(葉)を道に敷き、また手に持ちながら歓迎したことを記念する日。
この日、トラーパニの街角では棕櫚の葉で作られた飾りが屋台で売られます。
枝の主日の後の木曜日は聖木曜日と呼ばれ、トラーパニの教会ではキリストの聖体安置所が作られ、周りは美しく生花で飾られます。
そしてやってくるのが聖金曜日。
この日は私の住むトラーパニでは1年の間でとっても重要な意味を持つ1日なのです。

  • 棕櫚の飾り棕櫚の飾り
  • 聖体安置所聖体安置所
  • キリストの体と血をあらわすパンとワインキリストの体と血をあらわすパンとワイン

聖金曜日、トラーパニでは盛大な復活祭の大行進

トラーパニでは聖金曜日から翌日の聖土曜日にかけて、盛大な行進が行われます。
通常はプルガトリオ教会に置かれている、キリスト最後の1日を20シーンに分けて表現した聖台。
この聖台は「ミステリ」と呼ばれます。
トラーパニに来た2005年にたくさんの人から、「ミステリ、知ってる?」と聞かれ、トラーパニの街にはどんな謎(ミステリー)があるのだろう?とずっと思っていました。
その翌年の復活祭の時期、初めてこの「ミステリ」が「聖台」であることを知ったのでした。

行進当日はミステリの周りには生花が美しく飾られ、お神輿のように男達に担がれて教会を出て、1日中、街を練り歩きます。
行進はキリストがなくなったとされる金曜日の午後2:00に始まり、翌日土曜日の午後2:00に終わる・・・なんと20時間以上歩き続けるのです!
1台のミステリには50人を超える近くの街のブラスバンドと、その聖台にまつわる衣装を着た人々が50人以上、担ぎ手と合わせて150人以上の人が関わります。
それが20台、1日中街を練り歩くのです。
なので、この日はトラーパニの街のどこに行っても行進に出会う事となります。
ブラスバンドの奏でるちょっと物悲しいシチリア音楽と共に行われる行進は、それは壮観で。
この行進を見るための観光で訪れる人も多く、この時期のトラーパニは非常に賑わう季節のひとつでもあります。

20台のミステリはかつては「チェート」と呼ばれる職業別組合のようなもので運営されていました。
例えば、漁師、魚屋、八百屋、農業、パン屋、布職人、金属工業・・・。トラーパニは塩の産地ですので、塩の組合もあります。
ミステリにはそれぞれの組合のマークが付いていて、それを見て回るのも楽しく。
行進に参加する人達は、信仰心を誓うと共に、家族の健康や安全を祈願するそうです。
今でも漁師のミステリの担ぎ手を見てみると、いつもは魚市場で魚を売っているおじさん達がたくさん。
海という大自然を相手にする仕事には危険が伴うので、このような形で祈りを捧げているそうです。
このように文章にすると、ちょっと悲し気な感じもすると思いますが、実際は多くのトラーパニ市民や観光で来た人がこの行進を晴れ晴れした表情で眺め楽しんでいます。
街に出れば必ず友人や知人にも会うのですが、その際にはクリスマス同様「Auguri!(おめでとう!)」と言いながら、両頬にキスを交わします。

  • 生花で飾られるミステリ生花で飾られるミステリ
  • 一番人気のマリア様の周りにはいつも人がたくさん!一番人気のマリア様の周りにはいつも人がたくさん!
  • ブラスバンドブラスバンド
  • 夜のミステリは幻想的夜のミステリは幻想的
  • 翌朝になると洋服が熔けた蝋でいっぱいに翌朝になると洋服が熔けた蝋でいっぱいに
  • 船乗りのチェートのマークは船船乗りのチェートのマークは船

家族で過ごす復活祭、伝統料理と伝統菓子

こうして大行進が終了した土曜日の翌日はいよいよ復活祭当日。
この日の朝は、多くの人が教会へ行き復活祭のミサに参列。
その後、家族で集まって食卓を囲むのが定番です。
そしてこの日はまたまたマンマの腕の見せどころ!
キリストの復活をお祝いして、普段よりちょっと手の込んだご馳走が並びます。
復活祭の日、シチリアでは羊を食べる習慣があります。
羊はとても穏やかな性格をしていることから、羊はキリストのシンボルのひとつでもあり、そんなことから復活祭の日には羊を食べる習慣ができたそうです。
私は毎年パートナーの実家で復活祭を過ごしますが、メインはやはり羊肉のオーブン焼き!
家に入った瞬間に香る、ほんのりとした甘い羊の香り・・・食欲をそそられます。

復活祭のお菓子と言えば欠かせないのがカッサータ シチリアーナ。
シチリアを旅行した方でしたら1度は目にしたことがあるかと思う、目を覚ますような緑の帯、そして上に乗っているカラフルなフルーツの砂糖漬けが特徴のシチリア伝統菓子。
今では通年、お菓子屋さんで見る事ができますが、もともとは復活祭のお菓子。
アラブが起源のカッサータ シチリアーナ。
アラブのお祝い菓子同様、カラフルに彩られたお菓子です。
そしてシチリアの復活祭のお菓子で描かせないのが、羊の形をしたマジパン菓子「Agnello Pasquale(アニェッロ パスクワーレ)」、その名も「復活祭の羊」。
これは復活祭の期間に友人や知人にプレゼントしたりもするので、各家に必ず1つはあります。
お菓子屋さんでも売っていますが、自分で作る人も多いので、復活祭の前の時期は復活祭の羊を作るための道具や食材が家庭用品屋さんに並びます。
この羊、とってもかわいいので、切ってしまうのがかわいそうで、「かわいそうだわ~、でも切らないと!」と誰かが言いつつナイフを入れるのが、毎年の恒例です。
その他にも、シチリアの伝統菓子ではありませんが、鳩の形をした醗酵菓子「コロンバ」、大きな卵のチョコレート「ウォーヴァ ディ パスクワ(復活祭の卵)」などが、復活祭のお菓子としてスーパーやお店に並びます。

クリスマスにしても、復活祭にしても、街の風景も、家での風景も、毎年同じような風景が繰り広げられます。
「こうして毎年同じ風景を見る事ができる事が幸せなのよね」と、トラーパニの人たちは口を揃えて言います。
私もシチリアに来てすぐの頃には、こうした日常の小さな幸せにとても共感。
私がシチリアに住みたい、と思った1つの理由でもあり、その時のことを思い出すととても懐かしく思います。

  • 子羊のオーブン焼き子羊のオーブン焼き
  • 手打ちパスタの羊の煮込みソース手打ちパスタの羊の煮込みソース
  • カッサータ シチリアーナカッサータ シチリアーナ
  • アニェッロ パスクワーレアニェッロ パスクワーレ

さて、今月は文中でも登場した「子羊肉のオーブン焼き」をご紹介します!

レシピ

子羊肉のオーブン焼き

子羊肉のオーブン焼き

羊肉は苦手・・・という方も多いかと思いますが、焼く前にレモンでマリネするだけで特有の臭みが抑えられ、とっても食べやすくなります。レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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