




ご自身の活動の中でこだわっているところは?
こだわりはたくさんあります。
書道の古典をちゃんと勉強した上で新しいことをする、間違わないとか。
長い歴史に則って表現する。
あとは道具へのこだわり。硯も10種類以上持っていて、コウモリ、ひょうたん、梅などが彫られていたり、産地によって使い分けています。筆も自分がプロデュースしたものを使ったりとか。道具って大切で、気分が上がった方がやる気が出るっていうか。あんまり好きじゃないけど、これで頑張って書こうというより、「この硯めっちゃ可愛い!この筆最高!」と入った方が最初からかっとばせるので(笑)
書道の面白さは?

筆の動きです。筆ってペンと違って3Dの動きをするんですよね。押したら太くなるし、引いたら細くなるし。墨つけたら滲むし、たくさん飛び散るし、なくなったら掠れて立体感が出てくる。そういう3Dの動きプラス潤滑の表現があって、それがすごく面白いです。
また、墨と紙の相性もあって。滲みやすい紙、滲みにくい紙、青い黒、赤い黒。そこまでこだわり出したら止まらないです。
活動していて難しいところは?
いつも難しいと感じます。
筆のコントロールができなかったりするので。こう動いて欲しいのにと思えば思うほど、動かなくなっちゃう。でもそのときに、難しいって思わないで、一回呼吸を整えて、気分転換して、筆がどっちにいきたいか、筆と会話するわけじゃないですけど、筆の行きたい方向に手を添えるぐらいの感覚でやると、めちゃめちゃいい線がでるので、気持ちいいです。
メンタルで大事な部分は?
私の場合は、メンタルが最悪な状態で書いたら最悪な字しか書けない。
それでまたそんな字を書いたのを見るのが嫌になっちゃっ て…負のスパイラルになります。
でも、めっちゃ気分いいぞ!って時に書くと「この字めっちゃいいやん!」とどんどんアガっていく。
アガるかサガるしかないのが、私の書道です。
なので書く前は好きなものを食べて、音楽も好きなのを聞いてブチ上げてーって感じです。

困難な時はどうしている?
とりあえず動きまくります!
私は、困難な方が燃えるというか、結構逆境が好きなので、「やべぇ、どうしよう…」ってほうが気合いが入ります。で、片っ端からやっていって、失敗したらしょうがないっていう。それが私のやり方です。
自分の作品を通じて伝えたいことは?

個人の作品を通じては、「もっとみんな好きなことをしよう!」。
意思を貫いて、周りがこういうからじゃなくて。
書道は「白い紙に黒い文字」が当たり前だけど、それもやりつつ、もっといろんな色を使っちゃってよくない?って感じです。書道全体で感じてもらいたいのは、「文字の面白さ」。自分たちが使っている文字も何千年の歴史があって山は山の形からできてるし、鳥は鳥の形からできてるし、みたいなことを一緒に楽しく話していきたいです。



万美
9歳で筆を持ち、高校時代より書家を志す。
HIP HOPカルチャーのひとつ、グラフィティを書道と同じ視覚的言語芸術と捉えた“Calligraf2ity”を確立。
個展やパフォーマンス、作品展示は日本をはじめ、アジア・ヨーロッパ・アメリカ・アフリカ・オーストラリア等でもCalligraf2ityを表現している。
現在は東京に拠点を置き、国内外を巡る。


