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2013年09月17日 その他

~ ホイップクリーム作製に有効 ~
レモン果汁の調理機能について
「日本調理科学会」「果汁技術研究発表会」で発表

ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社(本社:名古屋市)は、同社中央研究所(愛知県北名古屋市)において、レモン果汁の調理機能に関する有効な知見を見出し、本年8月23日~24日に開催された「日本調理科学会」で発表しました。また、本年9月20日に開催される「果汁技術研究発表会」での発表も予定しております。

当社では、長年に亘る主力事業としてレモン製品を手掛ける一方、レモンの持つ素晴らしい健康価値、調理機能の価値などを発掘・発信すべく様々な研究を行なっています。

今回、レモンの調理機能をテーマとした研究において、生クリームにレモン果汁を加えることでホイップクリーム作製時間の短縮とそのメカニズムや、様々な用途に適した性質のホイップクリームを作れることがわかりました。研究内容の概要は以下のとおりです。

研究内容の概要

1. 背景

ケーキをはじめお菓子などで使われるホイップクリームは、生クリームを泡立てることで脂肪球が鎖構造を形成し、そのなかに空気を抱き込んでふんわりとしたクリームに変化します。

しかし、「時間と手間がかかる」「水と油脂、タンパク質の分離がおこりやすく、形状を維持しにくい」など、いくつかの課題がある点に着目しました。

当社ではこれまで、レモン果汁によるpHの変化やクエン酸のキレート作用により、多様な調理機能(※1)を発揮することを調べてきました。そこで本研究は、レモン果汁を生クリームへ添加することで、調製時間や物性の変化におよぼす影響について検証を行い、より扱いやすいホイップクリームの作製方法を探索したものです。

2. 方法および結果について

<方法>

・生クリーム(300ml)に適宜レモン果汁を加え、ハンドミキサーでホイップクリームを調製しました。
  (生クリーム300mlは直径18cmのホールケーキ4-5人分の作製に充分な量と想定)

・ホイップはオーバーラン(空気が含まれている度合いを示す指標)の最大を終点としました。

・ホイップクリームの保型性は、離漿(りしょう:水分分離)量、気泡径、硬さ、動的粘弾性で評価しました。
  また、レモン果汁を添加した際の理化学変化としてゼータ電位(粒子の溶媒内での凝集しやすさを示す指標)、粒子径、pHを
  測定しました。さらに評点法による官能評価を行いました。

【ホイップクリーム作製時間の短縮とそのメカニズム】

図1

・レモン果汁を1%添加することにより、ホイップ時間が2/3に短縮されました。
また、5%以上レモン果汁を添加した場合、ホイップ時間が約半分まで短縮されました。

※図1参照


図2

・最大オーバーランまでのホイップ時の粒子径の変化を調べたところ、5%レモン果汁の添加区分では、粒子径の中央値を示す「メジアン径」が大きく、粒子の形成が促進されました。

※図2参照


図3

・レモン果汁の添加による時間短縮効果のメカニズムを解明すべく、液中の粒子に生じる物理的特性である「ゼータ電位」を測定したところ、絶対値が小さくなることで、粒子が結合・凝集し易くなり、ホイップクリームが早く作製できることが分かりました。

※図3参照


【ホイップクリームの経時変化の抑制】

図4

・ホイップクリームを4℃で一晩置いた際の離漿率(水分分離の度合い)は、1%、5%のレモン果汁添加により、0%と比較してそれぞれ15%、60%減少することが分かりました。

※図4参照


図5

・ホイップクリームの気泡径の変化率について、ホイップ直後から30min、60min後における気泡径の変化をCCDカメラで観察したところ、レモン果汁の添加によって、ホイップ作製後の気泡直径の変化率が小さくなることが確認されました。

※図5参照


【ホイップクリームの味覚上の変化】

図6

・官能評価試験の結果、レモン果汁を1%添加したクリームは舌触りが軽く、口溶けの早いさっぱりした特性を、5%レモン果汁添加クリームは濃さが強い特性を示すなど、レモン果汁の添加量を変えることで、用途に応じたホイップを作ることができることが分りました。

※図6参照
※官能評価は13人(男5名/女8名)による


※1.レモン果汁の調理機能に関する研究歴

 2010年度「日本調理科学会」演題:レモン果汁添加が炊飯米の品質におよぼす影響

 2011年度「日本家政学会」演題:牛肉ハンバーグの加熱調理・保存におけるレモンの脂質酸化抑制効果

 2012年度「日本家政学会」演題:レモン添加が天ぷらの衣の物性に与える影響

学会発表の概要

演 題:「レモン果汁の添加によるホイップクリーム作製時間と物性変化におよぼす影響」

発表者:ポッカサッポロフード&ビバレッジ(株) 小平将太

発表日:2013年8月23~24日「日本調理科学会」平成25年度大会(於:奈良女子大学)

演 題:「レモン果汁の添加によるホイップクリーム及びメレンゲの作製時間と物性に及ぼす影響」

発表者:ポッカサッポロフード&ビバレッジ(株) 小平将太、井上孝司、岡田実紀

発表日:2013年9月20日(金)第56回「果汁技術研究発表会」(於:ヤクルトホール)

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